こんにちは~!筆塗りおじさんこと壽屋企画チーム糸山です!
サンライズ様、キャビコ(エムアイモルデ)様のご協力によります、
『フィンガーパレット使ってみた』 ~チョイプラスコープドッグ編~
三回目となる今回は「筆目が残る」について考えてみようと思います。
※第一回「見せびらかし編」はコチラ
※第二回「透けてもいいさ編」はコチラ
そう、あれは(以下略、)紳士が私にこう言いました。
「なに? 筆目が残って綺麗に塗れない?
逆に考えるんだ、筆目が残っちゃってもいいさと考えるんだ」
・・・ハイ!
そう、せっかく出るんだから筆目は残す!
よく考えたらこれこそエアブラシではできない、筆塗りならではの表現なので
活用しないのはモッタイナイですね。
せっかく処理した表面が荒れちゃう?荒れちゃってもいいさ!
逆に、けっこう荒れた表面でも成立しちゃっていると思いませんか?
これはイラストタッチ&鋳造質感の再現です!
というわけで今回は表面の荒れと筆目を逆手にとって
最もイラストめいた表現をした部分を紹介したいと思います。
それは、、、ココ!
ベースです!
イラストめいた、というかイラストです!
チョイプラスコープドッグは足がとても小さいアレンジだったので、安定して飾るべく「ヘキサギアミニフライングベース」に固定したのですが、このベースは商品状態ではクリア成型で天面は平面になっています。ということで主役に合わせてプラ板工作でチョイチョイっと基地の床面っぽく改造するかな~と思いディテール確認がてら画集を眺めると・・・
「え?これ…メカっぽい床の絵が…描いてあるやん?」
と、いうわけでせっかくなのでマネして平面上に描いてみましたw
描き方はだいたいこんな手順。
注:イラスト的なお作法に沿っている描き方なのかはサッパリわかりません!
先に黒の下地を塗ってしまうので、作業中のフィンガーパレット上は塗料ポケットに灰色を貯めつつ試し塗りスペースで白と混色ながら塗装、重ね塗りに失敗した時に必要に応じて黒をちょこっと持ってきて補正する感じでした。
どうですかね?私、普段は絵なんて全く描かないのですが、全ての線が直線で構成されていたのとお手本にできそうな表現のイラストを見つけられたのが良かったのか、かなりイイ感じに描けていると思いませんか?
(何か指標となるお手本があるだけで迷いが半分以下になります!)
ちなみにスコープドッグのバイザー部分もグラデ後にドライブラシでザラザラ感を足しているのですが、こちらは指向性を持たせずに荒らしています。筆目のスジを利用した時と、サラサラ面にランダムにザラザラを作った時の違いがご覧いただけるかと!
また、今回は意図してスジやザラザラを作っていますが、希釈濃度のコントロールによって筆目がほとんど目立たないグラデも可能ですので、やりたい表現に合わせて色々な濃度や筆のパターンの組み合わせに挑戦してみて下さい。
そして第一回で4大特徴と言いながらすっかり忘れてました「乾燥が遅い」について!
これはですね、長く仕事で模型を作ってきた者が陥る「締め切り」という魔物への恐怖心が産み出した言いがかりです!
そもそもホビーなので急ぐ必要は全然無いですし、繰り返しになりますが「希釈濃度のコントロール」、それから「一度塗った塗料が乾燥しない内に厚塗りを重ねない」を意識してパーツや作業箇所をローテーションしながら塗れば、意外なほどサクサクと進行できます。部品のローテーションは結果的に全体のトーンの一致にもつながるので一挙両得!
そして乾燥までの時間が長いという事は、その間に部品に乗せた“塗料だまり”の中にある顔料の位置を移動したりもできるんです!小さい面ならばこれだけでグラデかましたりもできます!
(ウマい人になると、部品の上で2つの色を混ぜてグラデーションしたりするらしいです。コワイ!)
あえて言っておきましょう、「乾燥が遅い」ではなく「作業可能時間が長い」であると!
考えてみれば、何となく苦手意識のあった筆塗りとこうして改めて向き合って、なんだかんだと実験や練習をするうちにやってはいけない事やリカバリーの限界がつかめてきた辺りから失敗のハードルが下がってめっちゃ遊べるようになった気がします。( ´∀` )
SNSなんかでは超絶テクの達人級の人も見かけますし、当然ソコを目標にしてはいるのですが、実は結構荒くてもちゃんとしてる風に見えたりするので、あんまり気にせず楽しんで「そのうち慣れるわい」くらいのスタンスがいいのかもしれないですね☆
長年プラモデル/模型の仕事をしてきましたが、初めて何かをした時のような、ある日突然世界が広がった感をいまだに感じられる事に感動しきりです。
それではまた次回!
第四回(最終回)「はみ出ちゃってもいいさ」
でお会いしましょう!