レイブレード・インパルス【Reloadead】ウェザリング講座!!

どおも!糸山です!

 

本日は好評ご予約受付中のレイブレード・インパルス【Reloadeadレイブレード・インパルス【Reloadead】コレクターズエディションのうち、コトブキヤショップ限定商品となるコレクターズエディション(画像右)に関しての作例ブログをお届けしまっす!

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さてさてこのコレクターズエディション、追加されたレイブレードエフェクトパーツをはじめとした数々の追加オプションパーツに加えて、古くからのファンの方であればご存知であろうヘキサギア初期の限定商品「ヘキサギア マスターブートレコードBOXに収録されていたPVイメージカラーのレイブレード・インパルス”の成型色を継承したメモリアルアイテムとなっており、商品画像やイベント展示で使用される塗装見本ではご覧の通り当時の商品画像に準じた“ウェザリング”が施されています。

ヘキサギアは「自由度の高い組み換え遊び」を最大の魅力としつつ、個々のキャラクターやメカニック、重厚な世界観設定に魅力を感じて頂いている方もいらっしゃると思います。その重厚感、リアル感を再現したい!という皆さんの為に、今回はコトブキヤの誇る原型チームからゲストを招き、塗装見本に施された“ウェザリング”というテクニックについてのHowToを紹介してもらいます!

それでは!宜しくお願いします~。

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ガバナーの皆さんはじめまして!原型チームのSAEです。

 今回は「レイブレード・インパルス【Reloadead】コレクターズエディション」のデコマス(塗装見本)で行った経年ダメージ塗装、いわゆる“ウェザリング”のやり方をご紹介したいと思います。

ウェザリングと聞いて「なんだか難しそう」「何を使えばいいかわからない」と思う人もいるかもしれませんが大丈夫です!

基本的なやり方、ポイントさえ分かれば誰でも簡単に始められます。

 そしてウェザリングの手法をお伝えする中で一番重要な事、それは……なんといっても楽しい!!ということ。

なので、まだやったことがないという方には是非気軽にチャレンジしてみて欲しいです!

それでは説明に移りましょう。

”ウェザリング”の流れ

まずウェザリングの大まかな流れについて説明していきますと……

①下準備

②ウォッシング

③ドライブラシ

④チッピング

⑤トップコート

ザックリですが以上の5工程に分けることができます。

5工程もあるなんて……やっぱり大変なんじゃない?」と思った方、どうかページを閉じずに騙されたと思って最後までお付き合い下さい!

では各工程について、実践しながら詳しく見ていきましょう。

①下準備

最初に、ウェザリングを施すキットの状態について。こちらは素組み(パーツを切り出して組み立てた状態)・塗装済み等どんな状態からでもOKです。今回はサンプルとして「レイブレード・インパルス【Reloadead】コレクターズエディション」のテストショットをご用意しましたので、素組み状態から成型色を活かす形でのウェザリングを施してみたいと思います。

始めに行うのは「半光沢クリアーでのトップコート」です。

素組みの状態そのままだと、表面がツルツルした状態なのでウェザリング塗料が上手く乗ってくれません。そこで、半光沢で表面を少しザラザラした状態にすることで塗料の乗りを良くします。デカールが貼られたキットにウェザリングを施す際はその保護も兼ねます。

今回はMr.スーパークリアー半光沢のスプレーをサッと一吹きしました。

【ポイント】

ウェザリング塗装する際は、出来るだけ各部位ごとに分解した状態で行いましょう

クリアーは一度に厚吹きせず、吹き出しながらパーツ上を通過させる要領で段階的にコートしましょう

分解した状態でコートすることで、入り組んだ箇所やパーツ同士が干渉している部分も塗り易くなり、同時に溶剤によるパーツの破損を防ぐ事ができます。溶剤の中にはプラスチックを脆くしてしまう種類もあるので、組んだ状態のままで溶剤が染み込んでしまうと関節軸等のテンションが掛かっている箇所が割れてしまうこともあります。それを事前に防ぐためにも分解することは大切です。また、塗装前に関節軸をマスキングテープ等で覆うのも忘れないようにしましょう。

ここまでくれば下準備は完了です。

②ウォッシング

まずは”ウォッシング”で全体の彩度を落とし、汚れで表面がくすんだような状態にしていきましょう。

今回は「荒野での戦闘」をイメージとしているので、赤茶けた汚れを乗せていこうと思います。

使ったのはMr.ウェザリングカラーマルチグレーステインブラウンで、これを9:1で混ぜ合わせます。

ウォッシング用塗料の準備が出来たら、筆でパーツ全体に広げていきましょう。

躊躇なく容赦なくバシャバシャ塗っていきます。汚すための塗装なのでここで遠慮は無用です。全体を濡らしたら、余分な塗料を綿棒で拭き取っていきます。吹き取りは塗料が完全に乾く前に手早く行いましょう。

【ポイント】

拭き取りは流れの方向を意識して行いましょう

拭き取りの方向を一定にすることで、汚れをコントロールしてみましょう。今回は雨だれを表現する為に上から下に向かって拭き取りをしました。”コントロールされた汚れ”の一例として、飛行機モデルなどでは先端から後方へと流れるような汚れを付けることでスピード感を演出したりもします。全体の完成像をイメージしつつ、どんな汚れを着けたいかを意識して拭き取ってみましょう。また、ウォッシング塗料は拭き取りすぎない事も重要です!奥まった場所や凹んでいる部分はあえて塗料を残すことで、汚れが溜まっている感じを出すこともできます。

足先は特に汚れる部分なので、拭き取りを少な目に綿棒で叩くように拭き取ることで跳ねてついた汚れを表現しました。いかがでしょうか、ウォッシングだけでも元のパーツとは全く違った雰囲気になってきたのを感じて頂けると思います。

次の工程では更に汚れの情報量を増やしていきますよ。

[補足]
ウォッシングはエナメル塗料を使ってもできますが、エナメル塗料の溶剤はプラスチックに浸透し脆くしてしまう性質を持っています。
今回のように全体にたっぷりと塗り広げるような場合は、プラスチックへのダメージが少ないウェザリングカラーがオススメです。

③ドライブラシ

ウォッシングが済んだら次はドライブラシに移ります。ドライブラシを施すことでパーツの輪郭を強調させ、立体感を出すと同時に、角のスレや細かいキズを表現していきます。

使うのはエナメル塗料と筆、そしてキッチンペーパーです。

筆は若干コシが強く毛足が短い平筆が扱いやすいですね。今回は手持ちの平筆の毛先を8mm程の長さにハサミでカットして使いました。最初はお手頃な筆でも十分ですが、ドライブラシ専用の筆なんていうのも市販されていますので、慣れてきたらそちらを使ってみると表現のコントロールが更にやり易くなると思います。

それではまず、白と紫色の装甲部分に共通して使う塗料としてエナメル塗料のニュートラルグレーとホワイトを3:2で混ぜ合わせて、明るめのグレーを作ります。ドライブラシの塗料は溶剤で薄めずにそのまま使います。筆先に少し塗料を含ませたら、キッチンペーパーに筆を擦りつけて塗料を拭っていきましょう。

何回か擦りつけていくと、筆先がカサカサに乾いてキッチンペーパーにほぼ色がつかなくなっていきます。この状態になったら準備OKです。

主にパーツの角の部分を狙って、筆を擦りつけるように往復させていきます。始めのうちは色が着いているのか分かりづらいと思いますが、何回か筆を動かしていくうちに徐々に色が着いて輪郭がハッキリとしていくのが分かると思います。ひととおり装甲部分のドライブラシを終えたら、紫色の装甲部分に更に1色追加でドライブラシを掛けていきます。

先程使ったグレーに少量のブルーを混ぜたものを用意します。これを使い装甲表面についた浅いキズを表現してみましょう。

筆先に塗料を取り、先程と同じ要領で余分な塗料を拭ったら、次はパーツのエッジ部分ではなく、表面に筆先を当てていきます。表面を軽くはらったり、筆先を叩きつけることで、方向性のある細かなキズを表現していきます。

  

タイヤ部分と足回りはバフなどの明るく灰色に近い茶系のドライブラシ砂汚れを表現。

関節、武器などのガンメタ部分はシルバーでドライブラシを掛けていきます。今回はクロームシルバーとホワイトを9:1で混ぜてみました。シルバーはそのまま使用するとギラギラしがちですが、ホワイトを足す事で落ち着いた雰囲気のメタリック表現にすることができます。

頭部左右のチェーンガンとグレネードはクリアオレンジでドライブラシをかけ、金属の”焼け”を表現。また、銃口付近にはスモークにフラットブラックを少量混ぜたものを綿棒で擦りつけ、ススをつけてみました。

④チッピング

続いてチッピングという技法で塗装の剝がれを表現していきます。チッピングには様々なやり方がありますが、今回はスポンジを用いたパターンをやってみましょう。

まずは使う道具について、用意したのは食器洗い用のスポンジと竹串です。スポンジを適度な大きさにちぎり、先端に両面テープを貼った竹串を取り付け、簡単なチッピングスタンプを自作します。この際、スポンジ表面は出来るだけランダムになる様にしましょう。

 使用する塗料はエナメル塗料で、今回はフラットブラック・ニュートラルグレー・ハルレッドを3:1:1で混ぜ合わせました。

スポンジに塗料を含ませたら、余分な塗料を拭き取りパーツの角に軽く押し当てます。最初から本番の部品に行わず、何度かテスト用の部品で塗料の残し具合を確認すると失敗しにくいです。

「このプラモデルが実在するメカだとしたら、どの部分の塗装が剝がれ易いか」そんな想像をしながら進めていくと自ずとチッピングをしたい箇所が見えてくるんじゃないでしょうか。また、模型誌やネット上にある先人たちの作品を参考にするのも完成度UPの近道です!戦車、航空機、ラリーカーから建築物、様々な気候を表現したジオラマまで、制作のヒントが盛りだくさんです。

⑤トップコート

ウェザリングもついに大詰め、最後はトップコートを吹いて表面を保護しましょう。

今回は頭部左右の武器以外をMr.スーパークリアー つや消し」でコートします。

実はこの段階でのトップコート自体は決して必須では無く、上述の武器のように各所のツヤの違いを残しておきたいという方はトップコートを吹かないという選択肢もアリです。ただし完成後もガシガシ触って動かしたい!という方はやはりトップコートでの保護をオススメします。また、ウェザリングに使用した塗料はトップコートの溶剤で溶けてしまう場合もありますので、一度に厚吹きする事は避けるようにしましょう。

【ポイント】

トップコートの前に必ずパーツ表面のゴミを取り除きましょう

ドライブラシやチッピングを施した後のパーツには、筆から抜けた毛やスポンジ片がパーツ表面に残ってしまうことが多々あります。ブロアーやコシの強い筆などを使い、表面のゴミを取ったあとにトップコートを掛けるようにしましょう。

ウェザリング完成!!

5つの工程を経て、ウェザリング完成です!

ウェザリングをしていない素組みパーツと並べてみましたがいかがでしょうか。

「共に過酷な環境で幾度もの戦闘を乗り越えてきた相棒……」そんな雰囲気を感じられる仕上がりになったと思います。

ヘキサギアはキットブロックという特性上パーツ分割による色分けが優れていて成型色もシブ目のアイテムが多いので素組みの状態にウェザリングを施すだけでも十分カッコよくなってくれるという実に”ウェザリングしがいのある”シリーズだと思います!

最後に……

ここまでウェザリングの各工程「ウォッシング」「ドライブラシ」「チッピング」をご覧頂きましたが、いかがでしたでしょうか。「思っていたよりも複雑そう…」「自分にもできそう!」感想は様々だと思います。しかし、このページを最後まで読んで貰えたという事は、少なからずウェザリングに興味を持っていただけたという事!(だと願いたい)なので、まずはパーツ単位からでも失敗を恐れずにチャレンジして頂けると嬉しいですね。

ウェザリングは特殊なツールが無くても気軽に行えて、工程を進めるごとに見た目が大きく変化していくとても楽しい塗装技法です。夢中になってついつい汚し過ぎてしまった!なんて事もたまにありますが、それすらも”味”として楽しんでいただけると思います。また、一口に”ウェザリング”と言っても数多くの手法があり、今回ご紹介したテクニックもあくまでも一例です。他にも自分に合った手法、やりたい表現に適した手法があるかもしれませんので、気になった方は調べてみても面白いと思います。

ガバナーの皆さんも是非、ウェザリングで愛機を歴戦の戦友に仕上げてみて下さい!

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SAEさん、ありがとうございました!

複数の技法を重ねていくごとに映画のプロップやゲームのCGのような重厚感が付与されていく、そしてそれらが割とシンプルな道具で実現してしまう。改めて面白い技法ですねぇ。今回は説明書通りに組み立てたパーツにウェザリングを施してもらいましたが、皆さんが組み換えで産み出したオリジナルヘキサギアにウェザリングを施す場合は更に「作品全体をなじませる」という効果も期待できます。組み換えから更に一歩踏み込んで「歴戦の愛機」を自らの手で作り出すという体験は他では代えがたいガバナーだけの愉しみですので、興味が湧いた方は是非トライしてみて下さい~☆

それではまた!

いとやま

Ⓒ KOTOBUKIYA

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