【原型師インタビュー】ARTFX J ヴァッシュ・ザ・スタンピード -The Gunman in Black- TRIGUN STAMPEDE Ver.

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I. イントロダクション

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質問 1

インタビュアー:
服部さん、本日はありがとうございます。
服部さんはこれまでコトブキヤで「トライガン劇場版Badlands Rumble」からヴァッシュ及びニコラスの原型を担当した他、2023年のARTFX J Vash the Stampede TRIGUN STAMPEDE Ver.の原型も担当されました。
さらに今回、ARTFX J ヴァッシュ・ザ・スタンピード -The Gunman in Black- TRIGUN STAMPEDE Ver.の原型師も務めています。
『トライガン』という作品と非常に長い間付き合っていらっしゃる服部さんの『トライガン』と初めて出会ったときの思い出をぜひお聞かせください。

服部:
『トライガン』と初めて出会ったのは、ぼくがちょうど原型師を目指した頃と重なっていて、いろいろなフィギュアを勉強しているときでした。おそらく2003年あたりです。それで実はコミックやアニメより先に『トライガン』のフィギュアに出会ってしまったんですよ。海洋堂さんがスタチューやアクションフィギュア、胸像フィギュアを発売していて、それがめちゃくちゃカッコ良かった!
当時の日本では意外とカッコいいフィギュアって少なくて、PVCフィギュアは美少女フィギュアが全盛の頃だったんです。フィギュアブームではあったのですが、当時カッコいいフィギュアというのが唯一『トライガン』だったんです。
それでそのフィギュアを手に入れてからすぐに原作である漫画を読み、どうやらアニメもあるらしいぞ!ということでアニメも観て。そういう流れで『トライガン』という作品にドハマりしたという感じでした(笑)

インタビュアー:
面白いですね、かっこよさに憧れて、それを再現するフィギュアを作りたいというのは重要な動機だと思います。カッコイイフィギュアが珍しい時期があったのですね…

服部:
はい。当時の海洋堂の技術が凄くて。よかったんですよ、やっぱり。クオリティが高くて。造形心をくすぐられました。

質問 2

インタビュアー:
ご説明を誠にありがとうございました。今振り返ってみると『トライガン』の作品のどの要素に一番ハマったと思いますか?

服部:
一番ハマったのはやっぱり内藤泰弘先生の描く線のカッコよさでした。それからキャラクターのカッコよさですね。とにかく内藤先生の描く絵に本当にドハマりしたんです(笑)
線の一本一本がカッコいいんです。髪の毛がビャっと引いてある線とか末端の線まで含めて、全ての線がカッコいい!という所に魅かれて、なんとか立体にしたいなあって。

インタビュアー:
服部さんのキャリアにとってもすごく大事な出会いだったんですね。
自分も『トライガン』を初めて見た時はすごくかっこいいなと思いました。実際の作品に触れる前の印象は、アクションものかな、とかこのキャラクターは強そうだなとかと思っていましたが、実際話をみたらアクションだけではなくもっと深い話もあって、私が憧れたのはそういった重層的な魅力があるところでした。

Ⅱ. ヴァッシュのフィギュアについて

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質問 1

インタビュアー:
『TRIGUN STAMPEDE』
という作品とその主人公であるヴァッシュはおそらく「アクション」という側面で世の中に知られていると思います。しかし「ヴァッシュ」には「ガンマン」としてのカッコよさがある一方で「心の中で抱えている悩み」という部分も明らかにある。アニメのストーリーを通じて「ヴァッシュ」の心の中の悩みがアニメの視聴者と少しずつ共有されます。でもそれはアニメにはキャラクターの心の中の悩みを表現する方法が沢山あると思いますが、フィギュアにはいかがでしょうか。「アクション」の表現は入れやすいと思いますが、そうじゃないところはとても難しいと思いますがいかがでしょうか。

 服部:
フィギュアで一番表現しやすいところはやっぱり顔の表情で。そしてそこがいちばん手にとっていただく方には伝わりやすいし。で、原型師的な側面で言うともうちょっとあって。例えば手の表情とか、コートのなびきとか。そういう所のカーブというか、指の表情とか、ちょっとした足の力の入り具合とか。そういう所に切ない感じを入れ込めるんです。

インタビュアー:
そういったところからもオーラが生まれますよね。

服部:
そう。それでいかにオーラを感じてもらうか。

ぼくが造形に入れたつもりでも、感じとってもらうのは難しいじゃないですか。それを買っていただいた方に、「なんか違うぞ!あるぞ、コレ!」って思っていただけたら、それが一番最高なんです。

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インタビュアー: 
そこは結構大事な話で、自分は個人的に赤ヴァッシュのフィギュアを買った時にすごくそれ感じて、感動しました。ヴァッシュの強さとヴァッシュが心の中で抱えている悩みを、顔だけじゃなくてこのフィギュア全体にめちゃくちゃ感じました。
ではやっぱりそれを意識して作っていたということですか。

服部:
それは毎回どう入れ込もうかなっていうくらい入れ込んでます!どのキャラクターでも共通する話なんですけど。

いかにそれを感じてもらえるように作るかが、原型師の命題というか使命というか。

インタビュアー:
そのオーラはフィギュアからとても感じていますよ!

服部:
オーラが出たらイチバン最高の状態ですね(笑)

インタビュアー:
このフィギュアにはそれがすごい現れています!毎日自分のデスクで見ています。
ありがとうございました。

質問 2

インタビュアー:
先ほど、原型を作るプロセスについて少しお話いただきましたが、次はそれについて深くお聞きしたいです。
自分は今まで、原型を作るということはすごいデジタルでの作業と勝手に思ってたんですけれども、以前に服部さんの社内の席に伺った時には『TRIGUN STAMPEDE』のヴァッシュのリボルバーの1:1レプリカが置いてあってすごいビックリしました。そのレプリカは原型を作る時のプロセスと何かの関係あるでしょうか?

服部:
はい、1/1の銃のレプリカを作ったというか、あれは原型で作っていた1/8用のデータをそのまま大きくしたものだったんですけど。やっぱり1/1スケールで出してみると迫力って全然違うじゃないですか。ぼくは1/1スケールで出した事がなかったので、ぜひやってみようと思って。それで出力してみて自分で持ってみると、重みもあるし、大きさの迫力もあったりで。こういうのを持つと、あ、こういう所に力が入るな、とかそういうのが全部自分で体感できるので。造形をするにあたっては凄く良い事でした。

インタビュアー:
だとすると、フィギュアのこの手の特徴、このポーズのこの手の握り方は、やっぱり今の話と繋がっています?

服部:
すごい繋がりますね。だからちょっとした手首の角度ってあるじゃないですか。重みがあると持ち方がよりリアルになる。ヘッドの重みで先端やや下がるな、とか手首にこういうふうに力が入るな、とか。そういうのが分かる(笑)

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インタビュアー:実際に体験してそれを表現する時に参考すると。

服部:
はい。でも出力したのはたまたまで、毎回できるものじゃなくコストだって掛かります。
今はもう手元に1/1のレプリカは無いのですが、どこいっちゃったかって言うとオレンジさんにお渡しというか差し上げました。
今年の3月に池袋でトライガン展があるんですけど、もしかしたら展示されるかもしれないって言うお話しは伺ってます(笑)未確定なので、なかったらごめんなさい。

インタビュアー:
依頼があったんですか?

服部:
依頼はもちろんないです。ぼくが勝手に作りました。
オレンジのプロデューサー渡邊さん、チーフプロデューサー和氣さん、そして武藤監督とご一緒に食事をさせていただくという幸運な機会があったんで、そこで(おそるおそる)こんなのあるんですけど…ってお持ちして、もうその場で差し上げてしまったという(笑)

インタビュアー:
貴重な裏話ありがとうございました!このフィギュアを作るには重要なものだったですね。できればその展示を見に行きたいです。

服部:
展示があるといいですね!

質問 3

インタビュアー:
今回の作品(ARTFX J ヴァッシュ・ザ・スタンピード -The Gunman in Black- TRIGUN STAMPEDE Ver.)にはヴァッシュと『TRIGUN STAMPEDE』」のどの側面を表現したかったでしょうか。

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服部:
この黒ヴァッシュはアニメで言うと『TRIGUN STAMPEDE』の最終話に出てくる姿です。アニメをご覧になってる方はわかると思うんですけど、めちゃくちゃカッコいい!とにかくカッコいい!!間違いなくカッコよくて…
それを見て、この赤いヴァッシュをやっておいて黒いヴァッシュをやらないなんで考えられないじゃないですか。だから自分としては、ただただ作りたかった(笑)なのであの最終話のヴァッシュを立体化したいよね、というシンプルな思いがキッカケでした。

インタビュアー:
見た人もあのカッコイイキャラクターを欲しくなると思います。作るのは大変だと思いますが…

服部:
欲しいな!って思ってくれると思うんですよ。

インタビュアー:
フィギュアの通常版の顔はもうあのシーンのヴァッシュという感じでしょうか。

服部:
アニメの中に出てくる印象的な表情で作った、というのが一番のところです。歯をぐいっと食いしばるような、ナイブズとの戦いの最中のカッコいい表情があって、そこから製作しています。

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インタビュアー:
この顔は貴重ですね。いつもは戦いたくない人だけど、この時には全面的に戦うことになる。そこからこの顔は生まれている。何か裏があると思って知りたかったんです。ありがとうございます。

質問 4

インタビュアー:
ARTFX J ヴァッシュ・ザ・スタンピード -The Gunman in Black- TRIGUN STAMPEDE Ver.を初めて見た時に、個人的にはいわゆる「カラバリ」ではなく別商品の印象を受けました。その理由は「新規要素」があると瞬間的に感じたからです。最初見た時は「同じポーズ」だと思いましたが、よく見ると「ポーズの印象」がすこし変わっています。是非服部さんから今回の商品の「新規要素」について説明いただけると幸いです。
本日は彩色見本を持ってきたのでそれを見ながら説明して下さると幸いです。

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服部:
一番わかりやすいポイントは髪の毛ですね。
すごく緊張感あると思うんですよ。それはやっぱり争いの最中で、ぐわっと後ろに流れている。髪の毛の尖っているイメージが実はみんなの心にあるヴァッシュ・ザ・スタンピードに繫がると思うんですね。それをいかにカッコよく表現するか。

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インタビュアー:
この髪の毛が後ろに流れているだけですごく印象が変わってビックリしました。ここが変わるだけでこんなに印象が変わると思っていませんでした。

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服部:
不思議ですよね。作ってるぼくもすごい不思議でした。言葉で言うと髪型を変えただけなんだけど、だけど造形は全然違っていて。見た目の印象も含めてなんか全体が変化するんですよ。

インタビュアー:
本当に言葉で表しづらいですが、すごく変わりました。本当に雰囲気が全体的に違います。

服部:
さきほど言ったオーラの話に繫がりますけど、オーラがより強化されて強くなったというか。

インタビュアー:
そこについてですけど、髪の毛の塗装がすごく印象的な色合いになっています。それについてはいかがでしょうか。

服部:
色はぼくが塗っているわけではなくて、外注さんでもあり友人でもある彩色師さんにお願いして塗ってもらっています。こちらからの依頼の時点でメタリックなカラーで行こうというのは事前に決めていました。で、黒ヴァッシュって特別な状況、状態なので、その雰囲気を一番出せる特別感を色で表現したかったんです。なので通常ヴァッシュとは同じ感じにはせず、この綺麗なカラーで塗ってみたというところです。

インタビュアー:
この塗装は本当に印象的なので、どうしてもその点についても教えていただきたかったんです。

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服部:
ちょっと反射が入るじゃないですか、コレ。メタリックな色に周りの色も反射して入り込むので、いろんな色が入っているように見えて表情が豊かになりますよね。

インタビュアー
まさにそうですね。いろんな色の印象を受けます。
このフィギュアに限らず、アニメの印象をフィギュアを買ってくださる方に伝えるためにただアニメと同じ色にするのではなく、やっぱり今話してくださったようなプロセスがありますよね。同じ色にすればいいという話ではない。

服部:
そのまま資料から色を取ってくれば良いというわけじゃなく、フィギュアとして立体で見るものだし、立体感がどこまで出せるかみたいなのはいつも考えています。そうすると色もただ塗るだけだと、もの足りないよねっていう。どう工夫した色にしていこうかっていうのは毎回悩むところですけど、大事なポイントです。

インタビュアー:
その工程を踏むことによって表現が変わる、与える印象も変わる。本当にすごい作業です。
髪の毛以外についても全体的に色合いが変わりました。例えばよく見るとリボルバーの色も変わっていますね。

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服部:
これは技術的な側面もあります。赤いヴァッシュになじむ黒色と、黒ヴァッシュになじむ黒色というのがやっぱりあって、全体のトーンで言うと赤ヴァッシュが赤茶寄りのガンメタリックブラック。黒ヴァッシュがどちらかというと紫・青系のブラック。というので塗り分けてます。同じリボルバーであっても状況も違うし、それから全体のトーンも違うので、そこはちゃんと調色も変えて塗装しています。

インタビュアー:
色を合わせる、いわゆるコーディネート。全体のバランスのためにその調整は重要な作業でバランスをそこで図っているんですね。

服部:
黒ヴァッシュに赤茶系のリボルバーだと浮いちゃうので、全体のバランスをとっています。
もちろんトーンはアニメの中でも考えられているので、アニメ設定ありきの色になっていますよ。

インタビュアー:
ここも初めて見た時に、同じリボルバーなのに色の方向性が少し変わっただけで全然違うなと思いました。

服部:
そう。黒の色でも違う色でそれぞれを表現しています。

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インタビュアー:
塗装の話題からすこし離れますが、この目線と手と合わせるプロセスについて。ベースが変わったのでこの目線を合わせる時に影響があったんじゃないかと思いますが。

服部:
これはぼくというか、商品開発の部署の平本さんが一番大変だったかなと。組み立ての工程もあるので、目線と銃口をあわせる部分はとても苦労されてると思います。

インタビュアー:
それだけ沢山の新規要素があるので単純に「カラーバリエーション」では片付けられないと個人的に思っています。

服部:
バリエーション商品というよりは、新商品レベルで技術をつぎ込んでいます(笑)

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インタビュアー:
ありがとうございました。次は透明パーツについて話したいと思います。このキューブの部分を紹介していただければ幸いです。

服部:
キューブも造形的に変わっているところだけで言えば、握っている左手とキューブ。
これが新規造形なんですけど、実はまずキューブ握らせるっていうのが、造形的には凄く難しかったんです。すんなり握っているように見えますけど、意外とバランスよく持つのは大変で(笑)

インタビュアー:
大きいですからね。

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 服部:
そう、大きいんですよ。指の位置とかもカッコよく見せたいんで、微調整の繰り返しで大変だった箇所でした。
あともう一個。インサート成型と言う技術で、キューブの中の中心に球体、丸いモノがあるような見せ方にしたいなと思って。これまた特殊な成型を商品開発担当に対応していただいてるという。

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※実際の製品は発光しません。

インタビュアー:
ディテールが豊富で、いろんな角度から見るとすごく面白くって、ただのキューブではなくて大切なアイテム、というかエネルギッシュなものに見えます。だからこそ作るには苦労したのではないかと思いました。

服部:
劇中だと奥行があるように見えるんですよ。
だからこれを再現どうするか?って考えたとき、まず表面のモールドを彫り込むとか、いやそれじゃあんまり綺麗に見えないとか、成型が困難とか。いろいろ検討して、今のデコマス(=彩色見本)の形に落ち着いたんです。

インタビュアー:
独自な、アニメとまた違う印象を受けるので素敵だと思います。

服部:
これはぜひ現物を見ていただきたいですね。買っていただいた方にどういう風になってるのかなってまじまじと見て欲しい。

インタビュアー:
色んな角度から見て楽しめますね。
指の表現についてもうすこし話したいです。どんな作品でもそうだと思いますが、指を表現するのはとても難しいと思います。それはもう顔と同じぐらい難しいのではないかと感じます。例えばキューブを握らせる時に苦労したでのではないですか?

服部:
おっしゃる通りで、手の表情って顔の表情と同じくらい大事なんですよ。なので、原型師の人は拘る人は拘る、めちゃくちゃ大事なポイントです。顔か?手か?ぐらいホントにこだわる(笑) 指の節とか関節の表現とか、どう曲げているとか、大きさはどのくらいなのか、とか。
例えば大き過ぎるとバランスが崩れるので、本当に顔と同じぐらい大事です。

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 インタビュアー:
やっぱりそれを意識しながら作っていますよね。

他にはコートの色も変わりました。アニメではコートのかっこよさがとても印象的です。しかしフィギュアでそれを再現する時はやっぱり難しいんじゃないですか?特に黒という色はおそらくただ黒く塗ればいい話ではないと思いますので、やっぱり色の選びとかに悩みがあったと思いますが、それについて少し聞きたいです。

服部:
そうですね。黒いヴァッシュだからといって単純に黒で塗るっていうはなくて。やっぱり塗装する時は真っ黒ってあまり使えないんですよ。

インタビュアー:
使えないのにはどういった理由があるのでしょうか?

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服部:
真っ黒で塗ると本当に黒にしかならないので表情つけられない。今回の場合でいうとコートに関しては紫、パープル系の色を基本にして黒を表現しています。わかりやすくいうと紫が一番濃くなったような黒です。

インタビュアー:
面白いと思ったのは、このコートには「動きがあるという印象を受けます。もちろん動いてはないんですけど、なんかこの色が動いているように見えます。

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服部:
そうです。グラデーションが入っているので、それによってこの風がバーと後ろに流れているのを感じてもらえるかなと思います。

インタビュアー:
それは本当に感じます。この部分についてもどうしても聞きたかったです。
アニメの色を単純に再現するのではなくいろいろ考えながら塗装を整えているんですね。

服部:
アニメの設定をしっかり守りながらもフィギュアとしてどこまでいけるかですね。

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質問 5

インタビュアー:
個人的には「フィギュアのベース」はすごく大事と思っています。ベースがあまりにもシンプルだととても残念な気持ちが残る。今回のベースはすごく魅力的だと思って、この形とこの文字はトライガンぽいですね、どのようなインスピレーションからこのベースが生まれた経緯について教えてください。すこしクラシカルな『トライガン』の雰囲気を感じます。

服部:
今回の台座・ベースですけど、アニメの中では空中戦だったんですよね。なので、赤いヴァッシュのようなビネットの風景にはできないなあと思って(笑)
じゃあどうしよう?ってなった時に、前回のトライガンフィギュア(『劇場版TRIGUN Badlands Rumble』)でやった手法が一番合うんじゃないかっていうところで。そのフィギュアと少し地続きにさせていただくというか、ちょっと続き・シリーズものだよみたいな(笑)
なぜかと言うと、コトブキヤのトライガンフィギュアシリーズを買い続けてくれてるファンの方のためにも、ちょっとシリーズの統一感が出るといいなっていう。
その結果、今回のアクリル台座にしてみました。

インタビュアー:
確かにそれだとこれまでの商品に繋がりますね。この文字と雰囲気はとてもトライガンぽいなと思いました。

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服部:
前の劇場版トライガンのフィギュアがありきで(笑)そこからの流れで。

台座の模様はデザイン部署の池田さんにお願いしたんですよ。凄い大変だったと思うんですけど、めちゃくちゃカッコいいものに仕上がってて。もうこれ以上無いくらいっていうのを仕上げてくれました。

インタビュアー:
このベースの模様にも「動き」を感じます。

服部:
全部を紫色で埋めちゃうんじゃなくてクリアで色を抜いてある所とか、黒い模様がうまい具合にちりばめてあるという。そういう所が『トライガン』という作品のデザインに繫がっている。

インタビュアー:
ベースだけでも1つの世界がありますね。

質問 6

インタビュアー:
今までフィギュア本体についていろいろ話しましたが、忘れてはいけないのは『ARTFX J ヴァッシュ・ザ・スタンピード -The Gunman in Black- TRIGUN STAMPEDE Ver.』にはNightow先生のフィギュアが同梱されています。
服部さんは先生のミニフィギュアを作るのは初めてではないと伺っていますが、今回どんな意図で作られたのでしょうか?

服部:
トライガン好きの方は必ず漫画の中とかで出会ってる内藤先生なんですよね。だから多分みんな好きだと思うんで。みんな好きならば立体化しなきゃいけないっていう。みんなの心の中にあるので、このディフォルメの先生が(笑) それは立体化しないとマズいでしょっていう本当に単純な、でも絶対に必要な要素として内藤先生も登場していただいたという感じです。

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 インタビュアー:
このミニフィギュアは本当に好きです。

服部:
このスタンピードのヴァッシュに扮装した内藤先生は、詳しい方ならわかると思うんですけど、オレンジさんのホームページに一枚、顔だけの紹介イラストがあってそこから作り起こしたんです。なので許諾をいただけるかは未知数ではあったんですけど(笑)。

インタビュアー:
すごい、じゃ本当に「これ使っていいですか」のところから始まったのしょうか?

服部:
そうです。なので、どこから立体化したんだ?って思う方もいると思うんですけど、ちゃんと一枚絵があって。

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インタビュアー:
ミニフィギュアのコートはやっぱり『TRIGUN STAMPEDE』のコートをベースにしたんですか?

服部:
ここはぼくのほうでアレンジさせていただいて。たぶんこんな感じだろうなって。内藤先生がヴァッシュの衣装着たらこんな感じかなっていうので、ぼくのほうで考えて作らせてもらったんですけど。

インタビュアー:
ミニフィギュアのベースに「文字?」、「絵?」があるんですけど、ここはどこから持ってきたんでしょうか?

服部:
この模様は実は内藤先生のサインになっていて。しかもちゃんと内藤先生ご本人に書いていただいたサインで。内藤先生のサインが欲しいなってなってる方はこのフィギュア買っていただいたら、同時にサインも手に入ってしまうという非常にお得な(笑)
デザインとか模様か?と思わせつつ、しっかり内藤先生のサインです。

インタビュアー:
ミニフィギュアの台座はヴァッシュの腕のところから持ってきたんですか?内藤先生の小さな袖部分もそうですね。

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服部:
全然おまけじゃなくて、ひとつのフィギュアとしても充分に鑑賞に堪えうる出来です(笑)

インタビュアー:
そうだと思いますよ、すごい楽しめるので!

服部:
これだけでも買う価値がありますよっていう。
人によってはヴァッシュ本体がおまけになるかもしれない(笑)
先生のほうがメインでヴァッシュのほうがおまけ、という認識の方もいるかもしれないぐらい、っていうフィギュアです。

インタビュアー:
本当にその通りだと思います、どっちも大事ですね!

質問 7

最後になりますが、服部さんが原型師における『トライガン』への強い情熱が今までの話から感じ取れました。服部さん個人として『TRIGUN STAMPEDE』が初めて発表された時はすごい嬉しかったと思いますが、やっぱりまた原型を作りたいと思いました?

服部:
『TRIGUN STAMPEDE』のアニメ化が発表された時に、みんな期待と同時に不安が生まれたと思うんですよ。あの完成されたストーリーを今アニメにするってどうなるんだろうって…
そんなところでオレンジさんがとんでもないアニメを作り上げたじゃないですか。最高の、めちゃくちゃ凄いアニメで。
それとはまた別に、ぼくは『トライガン』のフィギュアをずっと作りたい人なので。なんか機会があればとにかく作りたい(笑)

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 インタビュアー:
もう第1話から頭の中で作り始めてたんじゃないですか?(笑)

服部:
そうです、頭の方でいつも作ってて。

通常のヴァッシュはアニメ放映前には原型は作っていて、今回の黒ヴァッシュはアニメを全部観てから作れたので、ずいぶん状況が違ってました(笑)
アニメを自分の中で消化した上で造形できたので、大満足というか。やりたいことを入れ込めた。

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 インタビュアー:
それは本当にその気持ちはフィギュアに現れていると思います。
通常のヴァッシュは設定資料とかを参考しながら作ったということですか。

服部:
そうです、赤い通常ヴァッシュは映像として見ていない頃に作ったので。でも黒ヴァッシュは全部観てるから、悔いなく表現できたと思います。

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最後に

インタビュアー:
今までの話の中で情熱とか細かいディテールなどが出ましたが、原型師という仕事には、アーティストとして何を表現したいことが重要なんだと感じました。
壽屋のロゴには「KOTOBUKIYA」だけではなく「
CRAFTSMANSHIP」という言葉、日本語では「職人の魂」という言葉がロゴに含まれています。もちろん人によって言葉の意味変わると思いますが、服部さんにとっては仕事の中で「職人の魂」はどこで働いていると思いますか?

服部:
う~ん、CRAFTSMANSHIPは毎日、頭の中に常にあるわけじゃないけど、気持ちとしては常にある。それは原型師だからあるっていうわけじゃなくて、たぶんこの会社に勤めている人たちは、コトバとしては無いけど気持ちの中には絶対あるはず。
原型師はわかりやすくフィギュアとして落とし込めるけど、そうじゃない人たちの熱意も会社の中には絶対にあるはずで。それでみんなの力が集まると、こういう商品が出来上がる。生まれると思います。

インタビュアー:
職人の魂からこのような商品が生まれる。仰る通り原型師はわかりやすいかもしれないけどやっぱりいろんな人が関わってこそ、ここまでの商品になるのでしょうね

服部:
ひとりじゃできないことなので、原型がどれだけ良くても。
いろんな人の力が合わさって、イイ商品になると!
どんな言葉にするかは難しいけど、心の中に絶対にある。

インタビュアー:
そうですねそれは「なにか」と説明するのは難しいけど皆どこかに働いていると思います。

本日長い間付き合ってくださって誠にありがとうございました。!

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※左:インタビュアー、右:服部達也(原型師)

 ※画像は試作品です。実際の商品とは多少異なる場合がございます。

※撮影の条件・お使いのパソコンの環境などによって、色・見え方が違う場合がございます。

© 2023 内藤泰弘・少年画報社/「TRIGUN STAMPEDE」製作委員会

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