【撮影秘話】コトブキヤ専属カメラマンが綴る!撮影秘話 -「ギィ」イメージカット編-
ディアマスターの皆さん、こんにちは。
コトブキヤさんの製品撮影を担当させていただいている、カメラマンの久保田です。
アルカナディアブログへの寄稿も今回で3回目となりました。
前回、前々回とたくさんの方にお読みいただき、誠に感謝しております。
まだ見てないよ!という方は、下記リンクより是非ご覧下さい。
さて、今回は新たなディアーズ「ギィ」の製品撮影の裏側を語らせていただきたいと思います。今回も撮影の裏側に加え、自作できるイメージカット用のアイテムもご紹介させていただきますので、最後までお読みいただければ幸いです。
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これまで、ばーちーPの無茶振りからロケに行ったり、スタジオ内で炎を出したり雨を降らせたりしてきましたが、今回はすでに計画している撮りたい写真があるようで・・・。
ばーちーP
「見てください!ギィめっちゃ可愛くないですか!?」
私
「人気の出そうなキャラですね!最高です!」
ばーちーP
「面白い表情パーツもあるし、ウィライズモードのボリュームもすごくないですか!?」
私
「撮影するのが楽しそうですね!」
ばーちーP
「そうなんですよ!ロケ行きましょう!あとスタジオで気合いの入ったイメージカットも欲しいです!すでに考えているカットがあるんで、よろしくお願いします!!!」
・・・ふむ、今回は計画的ですな。こちらもすでにそのつもりだったので問題ありません。むしろアリ寄りのアリです。しかし、撮りたい内容を聞くと相変わらずの無茶振り(笑)。
さて、張り切って参りましょうか!
まず初めにご紹介するのは、ロケでの写真。ロケメンバーは、ばーちーPと超優秀新人企画のどんぐりくん、そして私。ロケ現場は連日猛暑日の続く、とある日のとある河原。
私
「良さそうな場所探しますよー」
どんぐりくん
「ど、どこまで行くんだろ・・・汗」
デコマスの準備をするばーちーP
撮影で使う石を厳選するどんぐりくん
こちらは撮影の様子
川の浅瀬とはいえ、デコマスを石の上に設置しての撮影。
細心の注意を払いシャッターを切っていきます。
そして、はじめに撮影したカットがこちらです。
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F8、1/160秒、ISO100、クロスフィルタ使用、白レフ使用
※クリックで画像を拡大表示します
水面を蹴飛ばしているポーズのギィを石の上に座らせ、水しぶきはばーちーPが飛ばしています。しぶきがちょうど良い位置に来るまで50~60カットは撮ったかと思います。しぶきが十字に光って見えるのはクロスフィルタの効果です。
水遊びをする元気で無邪気なギィが撮れました。
気温35℃超えの中、この1カットを撮るだけで既にみんな汗だく。水分補給をしつつ、日陰で軽い休憩を入れ、次のカットを撮影していきます。
デコマスが流されないように見守るばーちーP
次に撮影した写真がこちら。
↓
F8、1/160秒、ISO100、クロスフィルタ使用、白レフ使用
※クリックで画像を拡大表示します
こちらも先ほどと同じようにクロスフィルタを使っています。石と水面の境が十字に光っているのがお分かりかと思います。また顔が暗くならないように白いレフ板を使い明るくしています。川の中を観察する可愛らしいギィが撮れました。
「ばーちー!川の中に何かいるのだよ!!はやく捕まえるのだよ!!!」
ばーちーP「まかせろ!!!」
ばーちーP「とりゃー!エビゲットだぜー!」
などと遊んでいるうちに、太陽はもう頭の真上。気温もだいぶ上がり、スタジオでの撮影もあるのでロケはここまで。
戻る途中でお昼ご飯を食べて、次はスタジオでの撮影です。
暑い日は冷たい蕎麦ですな
スタジオに戻り最初に撮影するのは、ばーちーPがどうしても撮りたいと言っていた某怪獣映画のワンシーンのようなカット。
それではどうぞ(笑)
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F11、4秒、ISO200、ソフトフィルタ使用、スモークマシン使用、多重露光
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「ルミアビーム!!!」
ギィの表情パーツとエフェクトパーツを使い、ビームを発動させました(笑)
エフェクトパーツとビームに青い光を当て、この部分だけを長く露光すること(多重露光)で、より明るく光るようにしています。モヤモヤしている部分はスモークマシンの煙です。もちろん画像加工やCGを使ったりはしていません。円形のエフェクトパーツはギィに付属しているものなのですが、ビームの部分なんだかわかりますか?
撮影の裏側はこんな感じになっています。
この写真ではわかりづらいかもしれませんが、ビームの部分は透明なストローです。エフェクトパーツとストローをくっつけて、ルミティアの口元と角度を合わせて撮影しています。そのまま撮影すると輪郭がはっきりしてしまい作り物感が出てしまうので、輪郭が滲むようにソフトフィルタを使いました。
ばーちーPは会社のパソコンのデスクトップ画面にするほどこの写真が気に入ったようです(笑)
ユニークな写真を撮影し、続いて撮影したのは某RPGの魔法発動シーンのような写真。かなり作り込みました。
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F11、2秒、ISO100、自作フィルタ使用、多重露光
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こちらの写真は、ギィとエフェクトパーツをテグスで吊り、テグスを消す処理はしていますがそれ以外のCG加工などはしていません。魔法の玉はギィのエフェクトパーツ、背景は商業利用可能な画像を印刷したものです。
ライトは全部で5灯。ギィに2灯、背景に1灯、エフェクトパーツと自作フィルタに1灯ずつ当てて、多重露光しています。
自作フィルタはカメラと被写体の間に入れて、光の粒子を纏った効果を演出しています。
ちなみにこの自作フィルタですが、私が作ったものではなく、ばーちーPとどんぐりくんの努力の結晶。納得いく形になるまで何度も作り直してもらいました。
どのように作ったかというと、プラ板にラメパウダーを撒いて、もう一枚のプラ板で挟んで止めています。
おかげで、スタジオの床がキラキラまみれになりましたが、良い写真が撮れたので大した問題ではありません。
さて、続いてはティザー用で撮影したこちらの写真です。
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F5.6、4秒、ISO100、カラーフィルタ使用、多重露光
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こちらの写真もテグスで吊って、テグスを消す処理はしていますがCGなどは使用していません。背景の炎は本物の炎です。以前シャルメドの撮影でも行った方法ですが、今回はギィのイメージに合うような炎の色で撮影しました。
「炎の色って変えられるの?」と思われるかもしれませんが、変えられるんです。レンズの前にカラーフィルタをかざす事で、下の写真の様々な色の炎が撮影できます。
※クリックで画像を拡大表示します
このようにカラーフィルタを通す事で、白い炎や緑の炎になります。
ですが、カラーフィルタを使う事で被写体もフィルタの色の影響を受けてしまう為、ギィに当たるストロボの露光時にはフィルタを通さず、炎を露光するときだけフィルタを使っています。
上記のような方法で、ギィが明るくなるように撮ったものがこちらになります。
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F5.6、4秒、ISO100、カラーフィルタ使用、多重露光
※クリックで画像を拡大表示します
この写真もギィを露光する時にはフィルタを通さず、炎を露光するときだけフィルタを通しています。ですので、ギィはフィルタの影響を受けずに撮影できています。
個人的には手前が暗いままの写真の方がイチオシです。
さて、少々ややこしい話になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。今回の撮影の裏側のお話はここまでとさせていただき、次は、自作できる撮影アイテムのお話をしたいと思いますので、もう少々お付き合いいただけると幸いです。
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今回ご覧いただいた写真は、自作も含めフィルタを多用しました。ですので、皆さんには手軽に自作できるフィルタの作り方をご紹介したいと思います。
手軽に出来て効果が高いものになると思いますので、是非試してみてください。
ちなみに、ある程度口径のあるレンズ向きのものになりますので、スマホのカメラには不向きかもしれません。
用意するもの
- プラ板(厚さ0.3~0.4mm程度)
- 紙やすり(細目)
- 油性マーカー
まずはプラ板をご自分が使用するレンズより少し大きめにカットします。
次にカットしたプラ板に紙やすりで下の写真のように傷をつけていきます。
こちらは軽く力を入れ全体的に円を描くように。
こちらは紙やすりを二つ折りにしたエッジ使い、クロス模様に。
次にマーカーを使い下の写真のように書いていきます。
プラ板の下半分を隙間ができようにランダムに書きました。
これにて3枚の自作フィルタの完成です。
一番上が自作クロスフィルタ
左下が自作ソフトフィルタ
右下が自作ハーフカラーフィルタです。
このフィルタをレンズにピッタリくっつけて撮影します。(注:レンズを傷つけない為に、やすりがけした方やマーカーで書いた方をレンズ側にしないようにして下さい。)
レンズフードが付いている際は、レンズからフィルタまでの距離が出来てしまうので、はずしたほうが良いです。
あとは注意点として、絞り値(F値)が高いとフィルタにピントが合いすぎて変になってしまうので、低めに設定します。(使用するレンズや被写体までの距離によって変わりますがF4~F8くらいまでが良いかと思います。)
それでは実際に撮影してみましたので、違いをご覧くさい。
まずは、フィルタなしの状態です。
F8、1/125秒
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続いては、自作ソフトフィルタを使って撮影してみます。
自作ソフトフィルタ使用
※クリックで画像を拡大表示します
いかがでしょうか。全体的にモヤがかったような、柔らかい雰囲気の写真になりました。
次は、自作クロスフィルタです。
自作クロスフィルタ使用
※クリックで画像を拡大表示します
少々クリア感が損なわれましたが、キラキラ感が表現できました。
続いては、ハーフカラーフィルタ使ってみます。
自作ハーフカラーフィルタ使用
※クリックで画像を拡大表示します
下半分にピンク色が入り、魔法を発動したような、オーラを纏ったような雰囲気の写真が撮れました。
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した以外にも、工夫次第でいろいろな効果が得られるものが作れます。もちろん専用のカメラ用フィルタの方が使いやすく、効果も高くクリアだったりしますが、お手軽に自作できるフィルタでも雰囲気のある楽しい写真が作れます。フィルタを使用した写真は、画像加工とはまた違った空気感のある表現ができますので、興味が湧きましたら是非お試しください。
SNS等でも、ディアマスターの皆さんが撮影した素敵な写真を拝見しています。
これからもコトブキヤ製品と共に写真撮影も楽しんでいただけますと嬉しく思います。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。