【ARTFX J ナイヴズ TRIGUN STAMPEDE Ver.】フィギュアのコンセプトが垣間見える!? 原型師インタビュー

 

イントロダクション

 

スタッフM:
服部さん、本日はありがとうございます。
このあいだ初めてミリオンズ・ナイヴズのフィギュアが製作されることを知ったんですが、私がファンとして思っているのは、『TRIGUN STAMPEDE』は「兄弟」のストーリーです。その核にナイヴズとヴァッシュがいて、その二人の過去、守りたいこと、作った仲間でストーリーが進行していく。ナイヴズは最終的に強い敵でもあるが、主人公と兄弟。複雑なキャラで、個人的にとても心に残るキャラクターです。彼の悲劇が涙を招待する。

服部:
おお。涙を招待するって、日本語的じゃなくて凄いイイ表現!

スタッフM:
そういう意味では、アニメ『TRIGUN STAMPEDE』のコトブキヤのフィギュアシリーズは4番目まできてるんですけど、ナイヴズは必要不可欠なフィギュアだと思っています。コレクションとしてはいないと。
いかがでしょうか?

服部:
たぶん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。というお話しをする前に、スタッフMさん。
前回も出てらっしゃるんですけど、読んでる方がどうしても気になっちゃうという意見が多数ありまして(笑)
どういう方か、もうちょっと説明していただけるといいなって思うんですけど(笑)

スタッフM:
えー(笑)

服部:
トライガンの関係者かなー?とか、原型師??とか、海外メディアの方???とか?(笑)

スタッフM:
ンフフ、ハイ(笑)
スタッフMはね、コトブキヤのライセンスチームに所属しています。
ライセンサーさんとのやり取りを行っていて、トライガンまわりの仕事もしています。もちろんトライガンは元々好きだったんですけどね。

で、なんでこのインタビューシリーズが始まったかというと、スタンピードのヴァッシュを初めて見たときに、前も少し話したけど、顔にオーラを感じた。
原型師は、例えば顔の設定資料があってもただただ設定に忠実な同じ顔を作ればいいっていう仕事ではないんだ、っていうことをフィギュアを見たとたんにわかった。このキャラクターの奥にある複雑なモノを、培ってきた。そして新たな造形技術で表現し、伝える。それについて話したかったんです。それがこのインタビューシリーズのきっかけになっています。

服部:
へー!!

スタッフM:
ヴァッシュの複雑な、いろいろな心の傷も含めて原型師はこの顔に表現している。どうやったらこういうことができるんだろう??って。いつも言ってる。原型師ってアーティストだなって思うんですけど。
それがスタッフMの背景です。

  

服部:
じゃあMさんはトライガン好きだし、コトブキヤの中でトライガンに関係する仕事もしていると。

スタッフM:
原型師の仕事に凄く興味はあるけど、原型師ではないです(笑)

服部:
そうだったのかー(笑)

スタッフM:
社内の原型チームって珍しいじゃないですか。コトブキヤの一つの特徴だと思うんですけど。

服部:
メーカー自体が原型師を抱えてる。集団がいるっていうのは、まあまあ珍しいですね。

スタッフM:
すべての所に原型チームがあるわけではないですからね。原型師と一緒に商品を考えられる。そういう重要な場があるから、勝手に誘って話そうって。ワタシはそういうひとです(笑)

服部:
よかった。やっと理解できました(笑)

スタッフM:
社内のプレッシャーもあって。説明してください、みたいな(笑)

服部:
ぼくも言われましたから。服部さんの話が入ってきませんって(笑)
Mさんが気になっちゃって。とにかく誰なんだろう?が先に来ちゃうから。

スタッフM:
商品のプロモ-ションとかもね、やっていますよ。

 

本題

テーマ1 (ナイヴス商品化の経緯)

服部:
で、ナイヴズのフィギュアです!
ナイヴズの全身のスケールフィギュアって、たぶんまだ無くて。この世に。
世界含めて
商業品としてリリースされてないと思うんですよ。
なんで、まずそのプレッシャーが。

スタッフM:
それについてですけど、少なくともコトブキヤでミリオンズ・ナイヴズのフィギュアって初めてですよね。1回も作ってない。
ヴァッシュとウルフウッドは『劇場版TRIGUN Badlands Rumble』のシリーズで作ってたんですけど。ナイヴズは完全にはじめて?
ちょっと始まってるんですよね、原型?

服部:
そう、実はこのインタビュー段階で少しだけ原型はスタートしています(笑)

スタッフM:
やっぱりプレッシャーはありますよね。

服部:
あります。楽しい反面、はじめてフィギュアとしては世に出るキャラクター、初立体化みたいなのは、けっこうプレッシャーなんですよ。
まず実物を見てもらわないと話しにならないんです、原型師的には。
何もないでしょ、今。

  

スタッフM:
そう。今回は特別な状況だから。いつもはデコマス出来上がってから話を聞いてるんですが、今回は始まったばかりの時期で今どんな気持ちか気になってて、聞きたかったんです。

服部:
出来上がってる段階って、実はけっこう余裕なんですけど(笑)
なんでも話せるし。ああ、ココはこうですよ!みたいな。
何にもないと自分でもどんなものが出来上がるかわからないので。

スタッフM:
この時の服部さんの気持ちをみんなに共有したい。

服部:
顔真っ青ですよ(笑)

スタッフM:
でしょうね、んふふ(笑)

服部:
あと、年末年始で商品化希望アンケートやってるでしょ、コトブキヤって。あれでナイヴズに凄い票が入ってて。あれの影響が凄く大きいです、今回の商品化は。みなさまのお声が届いたと思っていただいて間違いない。

スタッフM:
私だけでなくみんな期待してるよ!
自分の心に凄く残ったキャラクターなので、フィギュアが欲しい!と私は思ったよ。
みんなも欲しいと思っていたんだと知れて良かったです。

 

テーマ2 (ナイフ)

スタッフM:
怖さやプレッシャーとかはあると思いますが、原型師として何か期待はありますでしょうか?例えばこんなことやりたいとか、新技術使いたいとか、いつものやり方とは違うとか、ありますか?

服部:
あります。やっぱり作る以上、「なんか見たことあるな」じゃ意味がないので。なーんかあんまり新しくないなと思われてしまったらそれは全く面白くないので、今までやってないことを必ず入れ込むんですよ。
で、今ナイヴズのポーズ・構成案はもう決まっているのですが、それをどうフィギュアに落とし込むか、というので相当新しいチャレンジが入っていると思います。

スタッフM:
ナイヴズのナイフは凄い複雑な仕組みになってて、設定画もトライガン展で見て、ディテールも描いてあったんで、これを作るのは大変だなって思ったんですけど。
やっぱりナイフの表現はひとつのチャレンジですよね。

服部:
名前がもうミリオンズ・ナイヴズっていうくらいで、ミリオン!なんで、相当な数のナイフをフィギュアとしてはどう表現するか。それは何千とか何万のナイフをただ入れ込めばいいというモノでもないので。フィギュアとして飾って、気持ちのいい、見栄えのいいというのはどんな風にやるかっていう。
これ想像つきますか、Mさん?

スタッフM:
だってナイフひとつにもミリオンのディテールが感じられるんですよ。
一本いっぽんにね。

服部:
それがさらに凄い数あるっていうことですから、ヤバいですね(苦笑)

スタッフM:
それを綺麗に表現するだけでなく、ポージングの中でどう入れるのかは凄く難しいんじゃないですか?

服部:
ナイフを作ること自体は、それなりにちゃんと作れるんですけど、それをどう動かしていくか、動きの表現みたいなことも、どうやろうかなー、みたいな。

スタッフM:
ニコラスの時は下から風の流れのように表現していましたけど。

服部:
そう。あれで音を感じてもらうなんて話をしましたけど、ナイフはじゃあどんな動きがあってどんな音がしてきて、みたいな。怖いじゃないですかナイフって。

スタッフM:
そもそもね。綺麗という言葉と結びつかない。

 

テーマ3(兄弟対比)

服部:
それから、アニメの劇中でナイヴズって最初、不気味な存在として現れるじゃないですか。人じゃない不気味さ。人間じゃあない感じ。あの不気味さを出したいと思って。

スタッフM:
そう、それもナイヴズの重要な表現。でヴァッシュのことも好きっていう。

服部:
好きすぎる(笑)

スタッフM:
今回のアニメシリーズではしっかり表現されています。ナイヴズの心の綺麗さが、私に響いたところなんです。あれだけ闘っているんだけど、やっぱり兄弟。ヴァッシュも守りたいし、ヴァッシュ大好きっていう。もう明確だと思うんだけど、それでフィギュアに雰囲気をどう盛り込むかは正直私が期待しているところなんですけど。

服部:
ぼくもその点は凄く考えていて。ポーズとか構成を決める段階で、まず兄弟双子という要素はしっかり入れ込もうと思って。兄と弟の対比。
で、どっちも想いは共通しているじゃないですか、実は。「共存」みたいな。そういうコンセプトがあると思うんです。兄が守りたいもの、ヴァッシュが守りたいもの。
それをフィギュアにするとどうなるか。

スタッフM:
すごい気になってる!

服部:
ヴァッシュはもうフィギュア発売していますからわかると思うんですけど、後ろの背景に守りたい街並みがあって、ジェネオラロックっていう。ヴァッシュのやっぱり人々を守りたいという象徴であの街を入れたんですけど。
じゃあナイヴズはどうなるのか?っていう感じです(笑)

スタッフM:
今までのベースがかならず特徴的だったので。ベースはすごい気になってる。
そこに何を入れるって、もう決まってますよね(笑)

服部:
そう、決まってます。まだ作ってはいないけど、コンセプトは決まっています。
実はね、Mさんにはそのコンセプト決めの段階で相談しているんだよね。どうしましょうか、みたいな。だからMさんは今回のナイヴズフィギュアには企画段階からかなり入り込んでる。

スタッフM:
あの時は素直に答えました。あと、自分だけが好きな要素だと思ってたものがあるんだけど、そしたら服部さんも好きって言われて、びっくりしたんですよ。

服部:
そう。合致したんですよね。

スタッフM:
このローブね!マイノリティだなと思ったんですけど。覚えてる、小さな声でこのローブ好きって言ったんですよ。

服部:
話しちゃうと、ローブって不気味さ・怖さの象徴だと思うんです。あれがひたひた歩いてきたらもう怖いじゃないですか。

スタッフM:
あういうミステリアスな感じ。

服部:
そう、ミステリアスな感じを演出しやすいアイテム(笑)フィギュア的に言うとですけど。

スタッフM:
これはオレンジさんに聞きたいんですけど、あのローブってフードがあって。でもうひとりのひとにもフードがある!ヴァッシュに、フードがあるじゃないですか!

服部:
そうなの!

スタッフM:
ヴァッシュに対して存在していると思うんです。

服部:
あれ対比ですよね。兄弟の対比構造になってるんじゃないかと思います。
原作にはあのローブやフードは無い表現ですから、そうするとオレンジさんのアニメはそこにも兄弟の関係性を色濃く出したのかなと。あくまでファンの勝手な想像ではありますが(笑)

スタッフM:
すごく特別なあのローブで異星人みたいなことを表現している。
ナイヴズには凄い似合ってますよね。
フィギュアにするにはすごい大変じゃないですか?ああいう構造を作るの。

服部:
大変(笑)

スタッフM:
きっと苦労していますよね。私は好き勝手言っているけど(笑)
もうひとつは肌ね。すごーく細かいでしょ?そこも期待しているところのひとつなんですけど。

服部:
あれはプラントの模様というか、表面にビキビキっと現れるプラント表現だと思うんですけど。ナイヴズはすでに色濃く出ているし、ヴァッシュもたまに出現するっていう表現で。あれもフィギュアにしなきゃいけないので。

スタッフM:
実は、すごく推しましたよね。「コレ絶対入れたほうがいいよ」ってコンセプト段階で。魅力的なので。

服部:
もちろん入れなきゃいけないんだけど、フィギュアとしてはどうするか。
本当に大変です(笑)

スタッフM:
「こんあのあったらいい」ってこちらは勝手に言うんですけどね。
でもバランスを考えないといけない。アーティスト側はね。

服部:
今ね、戦々恐々というやつです。その模様に関しては(笑)

スタッフM:
凄い魅力的ですよね、フードとローブと肌の組み合わせは。そこは期待しているところのひとつです。
今、私たちから服部さんにプレッシャーをかけているんで(笑)

 

テーマ4 (フィギュア化の苦悩)

スタッフM:
例えば、今回のフィギュアのコンセプトの中にある要素で、具現化が難しそうだと思っていることはありますか?これ実現できるか?とか。

服部:
ナイヴズはね、ほぼ全部。全部大変で(笑)
キャラクターを作るのは、そこまでじゃないですけど、細かい表現。たとえばナイフもそうだし、プラントの模様もそうだし、ベースの表現もそうなんですけど、全部新しい要素なんで。
ヴァッシュやウルフウッドとも同じじゃない。
ぎりぎり安心なのは台座の六角形。あれは一緒で決まっているので。ただ、その上がどうなるのかは、それは大変ですよ。

スタッフM:
プラントなんかも検討しているんですよね。

服部:
ハイ、そうなんです。
フィギュアとしてしっかり飾れるモノにするっていうのは、いったいどうなるんだろう(笑)

スタッフM:
みんな期待してほしいですね(笑)
ありがとうございます。

 

終わりに

スタッフM:
スタンピードのキャラクターの中で、内面が一番複雑なのは間違いなくナイヴズですよ。フィギュアの顔、目、全体の雰囲気にそれがどう表現されるかをとても楽しみにしています。

服部:
目っておっしゃいましたけど、これもヴァッシュとの対比になっています。
ヴァッシュのフィギュアがこうなっているということは!みたいな。

スタッフM:
ヴァッシュ・ザ・スタンピードのフィギュアがあって、ヴァッシュありきのナイヴズのフィギュア。
個別で考えるのではなく、コトブキヤのシリーズ。

服部:
完全なシリーズ!
でもヴァッシュを作っていた時は、ウルフウッドもナイヴズも何も決まってなかったんですよ。それMさんご存じでしょ。ヴァッシュ単体企画だったんです。
で、あそこから、次作るってなって、ウルフウッドが決まった。で、そこでもナイヴズはやるなんて決まってなかった(笑)

スタッフM:
だって私もつい最近知ったんだよ、ナイヴズ。

服部:
そう!なんだけど結果、シリーズとして並べると、トータルでコンセプト考えたのかな、っていうような全体像になります。

スタッフM:
そう、重要なポイントになりますよ。統一性のような、同じ様子が見えるっていうのは。
好きな作品は共通性がありますよ。キャラクターやデザインの意図的な共通点がある。
買う人の達成感もありますよ。

服部:
あとひとつ運がいいのは、全部ぼくが作れているので。スケジュールとかがきれいにハマった。もし合わなかったら、別の原型師さんが作っていた可能性もあったわけで。でもありがたいことに、自分が作らせていただけることになったので、だからこその統一感が出せるようにもなっている。

スタッフM:
企画担当もね。考えてくれてる。
服部さんが作るというその重要性が見えてる。

服部:
しっかりそこはブレずに考えてくれてるので。

スタッフM:
楽しみにしています!
今日(インタビュー時)が2025年6月4日。この数か月後には、原型初公開の時は今日のこの内容を一緒に公開する予定です。
さらに彩色見本ができあがった時にはまた話を聞きたいと思っています。
本日はありがとうございました!

服部:
ありがとうございました!!


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© 2026 内藤泰弘・少年画報社/「TRIGUN STARGAZE」製作委員会

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